夜のススキノをゆく

いよいよ今週末に迫ったハスリンさんとイーリアンさんの展覧会。ほぼ同時に札幌に到着した二人ですが、滞在制作へのアプローチは全く違います。

根雪が降った翌日の天神山にて

マレーシア生まれのハスリンさんにとって、札幌は驚きの連続だそうです。
「毎日が人生最低温度の更新。冬の服は着たことがなかったです。トレーナーも、マフラーも、帽子も初めてです。」片時も離さないスケッチブックには、一日見開き4ページずつ、新しい絵が描かれていきますが、その一つ一つに「6℃」「2℃」「-1℃」と、気温の記録がありました。

「マレーシアではなによりも家族が優先。妻と3人の子どもたち、大学で教えている学生たちと離れるのは寂しいし、日本には故郷で見せたいものがたくさんあるから毎晩ビデオチャットをしています。でも、日本に来て、創作にこれだけ集中できる時間があるのは嬉しいです」

「小さな机にかがみ込んでいると、憧れだった日本の漫画家みたいな気分です」

だったら普段できないことを滞在制作の調査としてやってみよう…と提案をしました。
スケッチブックに頻繁に登場するカラスにも興味があるようだから、夜ススキノのネットカフェに泊まって、朝にゴミを漁るカラスを見るのはどうですか?

どのお店にも入れないのに、この笑顔

そんなわけで、夜のススキノで22時に待ち合わせをして、探検しました。
パチンコ屋→ニッカのおじさん→無料案内所→大人のおもちゃのお店→ワンマンシアター→うさぎのお店→飲み屋→弁当屋→花屋→おにぎり屋、お寺→サウナなど、イスラム教に差し障りのない範囲(かどうかはわかりませんが)で、日本屈指の歓楽街を二時間ほど観光。

パワースポットだらけのススキノ

マレーシアでは、手塚治虫や鳥山明級のベストセラー作品以外で日本のものはなかなか輸入されず、漫画を読むのも40代以下の人々だそうです。
日本のように全世代がなんらかの形で漫画を読んだことがあったり、顔に十字の線を引いて目鼻を足していく「漫画の描き方」をなんとなく皆知っている国とは違います。

外国にはない漫画文化を、ということで、コミックカフェの10時間パックに登録してチェック・イン!
自由にコミックが読める、シャワーも浴びられる。ここは深夜の除雪などの仕事のために札幌近隣から来た人々や家のない人々が夜を明かす場所でもあります。持参したアイマスクと寝袋とマスクを抱えて、フラットシートに陣取って、おやすみなさい!この夜ハスリンさんは5冊読んだそう。(私も別の個室で漫画と副流煙を楽しみました…)

そして5時にチェックアウトしたものの、あいにく外はかなりな雨。
あわよくば降り始めた雪の中に映えるカラスを見せられる…と踏んだのに、来る時間も若干早かった。
まず私たちの都合で日曜日の夜にツアーを開始した時点で、金土の残飯というカラスの大朝食会を逃しています。あくる月曜朝のごみ収集は少し遅いどころか、カラスの好きな生ゴミではなく、まさかのビン・カンです(カラスは光るものが好きなので、アルミ缶のプルトップなどは大好きですが、巣作りの季節以外は別に興味はないのかもしれません)。

どしゃ降り

ここで諦めても悲しいので、とりあえずゴミ収集車が来そうな場所をレインジャケットを被ってひとまず一巡りします。

とにかく暗くてカラスの声は聞こえるものの、黒地に黒い鳥は見えません。

さすがラーメン屋さん。カラスがゴミ収集車の後ろに陣取っているのが見えますか?

最終的にはゴミ収集車の中に飛び込むカラスを発見し追跡。傘もささずに黒いフードを被った二人が、ビミョウな距離から写真を撮りながら何ブロックも追っかけてくるのは、ごみ収集の方にとっても気味が悪かったかもしれません。
「もっとカラスが多い時にまた来ましょう」と誘いたいのも山々でしたが幾分市中引きずり回しのようなアテンドになってしまったので、これで解散。
相当に暗くて寒い朝で、解散から1時間後には雪が降り始めました。
はたしてハスリンさんの展覧会にカラスたちは登場するのでしょうか?

いよいよ今週末、12月13日~15日は、S-AIR満20年とレジデント100人目を記念して、イー・リアンさんとハスリン・ビン・イスマイルさんの展示を行います。なえぼのアートスタジオによるオープン・スタジオも同時開催です。イベントの詳細についてはこちらです。(資源節約と環境保護のために、当イベントはペーパー・レスでの告知です。ウェブサイトからPDF版のフライヤーもダウンロードできますので、よろしくお願いいたします)

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