S-AIR Award: 風間天心さんカンボジア滞在記⑤

S-AIR Award(レジデンス派遣プログラム)で、Sa Sa Art Projectsとの連携によりカンボジア・プノンペンに2018年1〜2月に滞在していた風間天心さんから、滞在記第四弾が届きましたのでご紹介します。

第一弾第二弾第三弾第四弾も併せてどうぞ。


2/10(土) 【カンボジア滞在24日目】

カンボジアへきて2回目のワークショップ。前回とは違って大人向けの内容なので、ワークに入る前に「水引」についての説明をします。あくまでも僕なりの切り口ですが、日本人の信仰、日常的な文化、などの話をしました。

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カンボジアの誰にとっても「水引むすび」は初めての経験です。覚えるまでの時間は、子供とそれほど変わりません。しかし一度覚えてしまえば、黙々と「結び」の作業に集中していきます。

自ら新しい結び方を作ったりして、お互いに会話をしながら手だけを動かしていく。この「無心の作業」にも意味があることを、改めて最後にお話しました。

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2/11(日) 【カンボジア滞在25日目】

SSAPから歩いて10分くらいの距離にある「ripple cafe」。

日本人の方が経営するこのカフェには、日本人好みのメニューがたくさん用意されていて、何よりも静かで清潔感のある店内では、落ち着いて過ごすことができます。

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今日はここでバザーが行われており、Pokoさんや学生たちが「水引アクセサリー」の試作品を販売していました。ディスプレイの仕方や、どのようなものが好まれるか、有意義なリサーチになったようです。

そこから近くにある音楽学校で行われていたイベントに顔を出します。ここに写っている子供たちは、みんな「ホワイトビルディング」で生まれた子たちです。先日紹介した建築家ヴァン・モリバンのお嬢さんが開催するイベント。

カンボジアでは公私共々、子供たちへのサポートや教育に力を注いでいることを感じます。

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2/12(月) 【カンボジア滞在26日目】

明日から数日間「タイ」と「ミャンマー」へ旅行に行くので、Open Studio の作品制作をできるだけ進めておきます。一日中スタジオに篭りっぱなしなので、うどんやパスタを作って食べています。イオンで買ってきた豆腐は、なぜか「ドラえもん」のパッケージ。

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毎日寝ている間に、いろんな虫や動物の気配を感じていますが、今日もよく顔を出してきたのがこの「ヤモリ」くん。僕が頭を悩ませている蚊を食べてくれています。

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2/13(火) 【カンボジア滞在27日目】

ほぼ徹夜で作品制作してから、トゥクトゥクに乗って空港へ。

バンコク国際空港に到着。今日はバンコクに泊まり、明日からはチェンマイです。チャイナタウン近くにホテルをとったのですが、見つけるまでに2時間以上かかってしまいました。たまたま道を聞きに入った薬局でフランス人。とっても親切に探してくれて、やっとチェックインです。

今日中にいくつかお寺を回る予定でしたが、思ったより遅い時間になってしまい悩んでいるとSSAPのDaraからメッセージ。バンコクのアーティストにオススメギャラリーを聞いてくれていました。なんとか間に合いそうなので、急いで出発します。

はじめに行った「Nova Contemporary」というギャラリーでは良さそうな展示がやっていましたが、閉館10分前にもかかわらず、閉まっていました。残念。カンボジアもそうですが、閉店時間前に入れなくなるのは結構当たり前。

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「Nova Contemporary」
http://www.novacontemporary.com/index.php

次に向かったのは、「Jim Thompson Art Center」。ジム・トンプソンというアメリカ人のシルク王が住んでいた家なのですが、一部がギャラリー空間になっています。レストランも併設されているのか、豪華な内装の中で食事をしている人たちを見かけました。

同じ首都でも「バンコク」は特に経済的な発展がめざましく、まるで東京を歩いているような感覚です。

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この時はインドネシアの「ろうけつ染め」を題材にした現代美術アーティストの展示が行われていました。ギャラリー内の設備も展示内容も、日本と大差のない質が整えられています。

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最後に訪れたのは「Bangkok Art and Culture Centre」。とにかく巨大な文化施設です。札幌にもこんな美術館があればいいな〜。

中には大小のギャラリー空間がいくつもあり、羨ましい反面、企画をまわすのは大変そうでした。似顔絵のコーナーや、画材店も入っていますが芸術全般ではなく「美術」のみに特化しています。

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若手作家の展示もいくつか行われていました。仏像などがモチーフとして頻繁に登場し、パッとみてアジアを感じさせる展示が多かった印象です。

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「Bangkok Art and Culture Centre」
http://www.bacc.or.th

かなり足早に回ったので、チャイナタウンで夕食。

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タイにはいたるところにセブンイレブンがあります。10年前くらい前は現地のコンビニもあったのですが、完全にとって変わったようです。売っているものは日本と微妙に違いますが、旅行者には好都合なものが揃っています。

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2/14(水) 【カンボジア滞在28日目】

今日はタイ国内での移動。首都である「バンコク」から、古都「チェンマイ」へ行きます。チェンマイにはSSAPで出会ったアーティストのArnontが住んでいます。

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タイのトゥクトゥクはカンボジアとは違って、暴○族のような装飾。僕はこっちの方が好みです。操作方法を見ていると、ゴーカートのような簡単な仕組みなので、いつか乗ってみたい。

午前中にバンコク市内の主要な寺院を猛スピードでまわります。トゥクトゥクを拾って最初に目指す寺院に向かいますが、全然違う寺で下ろされました、、。

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しかし、ここはここで面白そうな場所。中には入りませんでしたが、大きな寺院だったようです。「Wat Sraket」何より急を要していたので、外のお手洗いだけ借りました。

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仏具屋街を歩いていると現れたのが「Wat Suthat」。本当はここに送って欲しかったんですが、僕の発音が良くなかったんだな、、。
超高い鳥居のような建造物がある寺院。実はこれ、儀式に使用するブランコだったらしいです。しかし落下事故があとを絶たず、ブランコとしての使命は終えたよう。

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「Wat Pho」に到着。歴代国王を示す装飾された仏塔が並びます。

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かなり大きな寺院なので見所はたくさん。お参りする人の座り方はカンボジアと一緒で、片足を開いています。敷地内には大きな僧房(僧侶の住まい)もあり、一段高いところで一緒にお参りしています。どうやらこの寺院はタイ式マッサージの総本山でもあるらしい。さすがに行く時間はないけど。

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目玉は巨大な寝釈迦仏。あえて全身が一望できない収め方をしているのに関心。むしろ大きさが強調されます。やはり仏教国のアートは、こういった造形から受ける影響があって当前と感じます。ただ仏像や寺院をつくれば良いってわけじゃなくてね。

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チャオプラヤー川を渡ったところにある「Wat Arun」。ここの特徴は大きな白い仏塔群。精密な装飾に圧倒されます。

日本との大きな違いは、寺院にある造形物や表現の中に「仏教」だけでなく「バラモン教」や「ヒンドゥー教」のモチーフや教えも共存しているところです。まぁ、日本も本来はいろんな信仰が混じり合って共存していたのですが。

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タイ国王夫妻と皇太子の肖像。ここは特に大きいですが、市内のいたるところで見かけます。

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最後に王室寺院でもある「Wat Phra Kaeo」へ。ここは他とは比べものにならないくらいの異常な混み方。あまりの混雑で、正直、中で見たものはほとんど覚えていません、、。とにかく早く出たいこともあり、本堂を見たら急いで出ます。

飛行機の時間が迫っているので、すぐにタクシーを捕まえて空港へ向かいます。なぜかタクシーの運転手がときどきハンドルから両手を離します。空港近くでやっとわかったのですが、お寺の前を通るたびに手を合わせています。何も両手を離さなくても…とは思いましたが、篤い信仰心を垣間見ることができました。

無事にチェンマイ空港に到着。空港から市街まではわりと近いのでタクシー。宿に荷物を置き、チェンマイ在住のアーティストArnontと合流。彼の案内でチェンマイの寺院をまわります。

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まずはチェンマイで一番大きな寺院「Wat Suan Dok」へ。

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小さな鐘が並んでいたので、Arnontにこの使用方法を聞いてみると、全て寄進されたもで、確かに一つ一つに寄進者の名前が書かれています。しかもこれは誰がどんな時に鳴らしてもいいらしく、たくさん鳴らした方が良いみたい。

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ここの仏像はちょっと変わっていて、メインの仏像のすぐ裏側に、もう一体別の仏像があります。Arnontも意味はわからないようでしたが、「確かに他の寺院にはないね」と言っていました。

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次に連れて行ってくれたのが、森の中にある「Wat Umong」。特にどこへ行きたいと頼んでいたわけではないのですが、あとで考えて見たら徒歩ではいけない場所を選んで連れて行ってくれていました。ありがたし。

ここはかなり変わっていて、深く掘られたトンネルの先に仏像があります。Arnontはサウンドアーティストなので、ここで行われる法要音声も録音したことがあるそうです。確かに、この中で行われる読経は聞いてみたい。トンネル以外にもたくさん施設があり、ここは特に瞑想を行うための場所らしいです。

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カンボジアでは見かけることのなかった公衆電話。

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もちろんアート関係の場所も紹介してくれました。ここは「Asian Culture Station」。国際交流基金アジアセンターが「アジア・市民交流事業」の一環として、チェンマイ、ホーチミン(ベトナム)、ヤンゴン(ミャンマー)の3都市にオープンした施設。ワークショップやトークイベントがよく行われているようです。「もしまたチェンマイに来ることがあれば、ここで何かすると良い」と勧めてくれました。
「Asian Culture Station」
http://www.cac-art.info/spaces/asian-culture-station/

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最後に行ったのは、「Chiang Mai University Art Center」。ちょうど、チェンマイ大学とポーランドの大学による交流展覧会のオープニングが行われていました。

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会場は大きいのですが、ほぼ平面の小作品。タイ国旗をモチーフにした作品が気になりました。

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外ではお祭りが行われていて、これは「ピンピア」という弦楽器の演奏。ちょうどチェンマイに来ていた2人のアーティストと一緒に4人で夕食に向かいました。

いやはや、今日は本当に濃い一日。

2/15(木) 【カンボジア滞在29日目】

チェンマイの宿を出て、カンボジアへ戻ります。

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宿に貼られていた注意書き「ドリアン持ち込み禁止」なぜかこの張り紙をよく見かけます。まだドリアン未経験なのですが、よほど匂いがキツイのでしょうか。

今日はチェンマイ市街のお寺を歩いて回ります。チェンマイの市街地は城壁と堀に囲まれてコンパクトにまとまっているので、歩きやすい。

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やはり気になるのが神棚。カンボジアと同様に屋外にはこのタイプの神棚があります。カンボジアに比べると装飾が華やか。色もたくさん種類があります。

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神棚だけでなく、カラフルな装飾が目立ちます。まるで七夕のようなお祭りのようなカラフルな紙が樹木にかけられています。

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あまり大きな鐘は見かけないのですが、日本風なものを見つけました。

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巨大な寺院「Wat Chedi Luang」。中心にある建造物は遠くからも発見できるほどの大きさ。このスケール感と街全体に感じられる総合演出。もちろん当初は信仰心を集めるためのものですが、アートの表現にも必ず通じるはずです。青森五所川原で見た「立佞武多(たちねぷた)」を思い出しました。

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もちろん派手であれば良いというわけではありませんが、こんな真っ赤な装飾にも心が踊ります。

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即身成仏。の像。

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こんなぽっちゃりした仏像もありました。もし日本のお寺にこんな仏像作ったら、「ふざけてんのか?」と言われそうですが、、愛嬌があって良いですよね。ぼってりした唇や、ピッチピチのお袈裟、手は大きなお腹を支えています。

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道端にさりげなく現れる装飾。

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「チェンマイ国立博物館」。お客さんはあまりいませんでしたが、設備もなかなかでチェンマイの歴史が学べます。タイ王朝が支配する前、チェンマイはモーン族が支配していたことなど、他民族を紹介するコーナーも。これは首長族と呼ばれる「カヤン族」。

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最後に頼まれていたお土産「カレン族」が作る民芸品を買いに行きます。「カヤン族」と「カレン族」混同されるようですが、微妙に違うらしい。実際に見てみると、素晴らしい。残念なのは展示品の8割が「sold」の表示、、。

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チェンマイではこの乗り合いのトラック「ソンテオ」がたくさん走っています。先に1人乗っていましたが、方向が一緒だったのでこれで空港まで。明日は大事なリサーチがあるので、いったんプノンペンに戻ります。

2/16(金) 【カンボジア滞在30日目】

昨晩プノンペンへ戻ってきて、今日は朝から郊外へお出かけです。Pckoさんの案内で、馴染みの運転手「チャントラ」さんのトゥクトゥクに乗って出発。目的地は「い草」の敷物をつくっている村なのですが、その道中にたくさん見学ポイントがあるので、たびたび止まりながら、ゆっくりと向かいます。

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はじめに止まったのはゴミ収集場。かなり広大な範囲にゴミの山ができており、ここに住んでいる人たちがいます。お金になるモノを仕分けしてタイや国外に売るのだそうです。

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まっすぐな道を進んでいくと、数10分ごとに小さな町が現れます。町には必ず大きなお寺があり、同じような規模の町が一定距離にポツポツと存在しているようです。国道12号線を、旭川から札幌までバイクで走っていたころを思い出します。

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お寺の中には、今日の目的であるカラフルな敷物が。これをつくっている村に向かっているのです。

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お寺はどこも町の中心にあって、その向かいには必ず学校と医療施設が存在します。学校内は決して十分と言える作りではありませんが、一生懸命に勉強している姿が想像できます。やはり都市部から離れるとリアルな生活環境がよく感じられますね。

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突然現れるアンコールワットを彷彿とさせるような施設。もちろん新しく作られたものですが、本物と見紛うほどの印象です。ここは以前紹介した古典舞踊のダンサー「Prumsodun Ok」さん達の舞台なのだそうです。

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そろそろ目的の村に近づいてきました。この船に乗って対岸に渡ります。が、トゥクトゥクのチャントラさんは乗りません。この船にバイクを乗せるのは「怖い」そうです、、。

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エンジンはヤンマー製。かなり頑張ってきたんでしょうね。

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ここでも気になるのはこれ。プノンペンで見たものと違うのは台があること。たぶんお参りなどの儀式に使うためと、一段上にあることが重要なのかな。色もタイで見たようなカラフルなものが目立ちます。

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おー!やってますね。今日は旧正月だからか週末だからか、実際に織っている家は2〜3軒でした。一通り見学した上で、素材の「い草」を売ってもらえるかを聞いてみます。と言っても英語はうまく通じないので、チャントラさんに電話で話してもらいます。完成した敷物を買う人はいるのですが、素材の「い草」を買いにくる人はいないようで、おばちゃんもちょっと困惑していました。これから作るために必要なので全部は無理みたいですが、何本かの束なら売ってくれるそう。

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こんな感じで色ごとにまとめられています。色は「赤、黄、緑、青」の4色。それに染められていない原色を足して、完成した敷物も一枚だけ購入。これで作品を作る予定なのですが、、方法は未だ考え中。

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準備してくれている間に昼食をご馳走になります。カンボジアの家庭料理「オンソーム」。いわゆる「ちまき」ですね。もち米をバナナの葉で巻いたもので、中身は甘いバージョンと肉バージョン。お祝いなので作られるご馳走ということもあり、とっても美味しい。しかも、かなり腹持ちがいい。この後、もう一軒お邪魔する家があったのですが、そこでも同じものが!大変申し訳ないのですが、そこでは食べきれずにお持ち帰りしました。

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最後に寄ったのは「キリング・フィールド」。以前紹介したトゥールスレン刑務所に収容された人々は、ここに運ばれて処刑されました。実際ここにある主要施設は慰霊のために建てられた慰霊塔だけで、敷地内のほとんどが「窪み」です。ここにあった建物は内戦が終わった後に壊され、残っているのは遺体が埋められた穴です。もちろん遺体は全て収容されていますが、今もまだ雨の後には細かな骨が出てくるそうです。トゥールスレンと同じように音声案内を聞いていると、あっという間に時間が過ぎていきます。

今日もまた濃い一日になりました。Pokoさんとチャントラさんに感謝。明日からはミャンマーです。


天心さんの滞在記は、次が最終回となります。更新をお楽しみに!

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